なんにもない休日

 

晴れて青空になることも、雨音を聞くこともない木曜日の曇りの日。久しぶりになんの予定もない午後がやってきた。友達のことを考える。優しいきもちになった。あっという間に日が暮れそうになったから、次はなにをしようかと考えた。

ギターを弾きたくなったから、公園に向かう。家から一番近いこの公園はとてもいきいきとしている。子どもはボールを追いかけ、老人は並んで陽に向かい、犬は草と戯れ、ベンチで何もしないでいる人。

私はギターを弾いている。いきいきの仲間入り。

暫く弾いたら、眼鏡をかけたおばあちゃんと、何故かバトンミントンのラケットを持ったおじいちゃんが隣に座り微笑む。わたしも微笑む。気づいたら二人はどこかへ行って、空いた席に次は角刈りのお兄さんが座る。それは、ガットギターですか、懐かしいなあ。と言い、わたしが歌うわたしの曲を、もちろんお兄さんは聴いたことがないはずの曲を一緒に歌う。次にどこにいくかわからない音程についてくる。少しうっとおしい、けど、何曲も聴いてくれて、曲が終わったら必ず、とてもいいですと、拍手をしてくれる。そんなことをしていたら、次はおばさんたちがレジャーシートを隣にひいて、お弁当開いて、ここは生演奏や〜、と集まってきた。

ギターのねえちゃん、とだけ呼ばれて、あとは何も聞かれなかった。とにかく、ご飯を食べなと豆ご飯に、にんじんしりしり、ウインナーを皿に乗せてわけてくれた。マッコリもくれた。後から来た、フランス帰りのお姉さんは、フランスパンとチーズとワインを持ってきた。みんなにフランスで結婚する予定だったけど、出戻りよ、と茶化されていた。みんな話に夢中で、曲なんか聴いちゃいない。でも弾くのをやめると、途端に弾いてよ、と言われる。聴いてるんだ。

帰り道、いっぱいになったお腹をさすりながら、あの人たち一体、誰なんだろうと一服。

ま、でもいいか。

なんにもない休日っぽいからいいや。