二月の

争いが暮れた世界で 燕になって あなたの元へ 高く高く飛べないが 羽を広げ風に乗る 庭木の枝が枯れる頃 幼き日々の街をゆく 痩せたその背中は 枝の先の空へ向かう 二月の燕よ、枯れた声の優しさよ 二月の僕らよ、遠くへと飛び立てよ かすかに光るその目には…

なんにもない休日

晴れて青空になることも、雨音を聞くこともない木曜日の曇りの日。久しぶりになんの予定もない午後がやってきた。友達のことを考える。優しいきもちになった。あっという間に日が暮れそうになったから、次はなにをしようかと考えた。 ギターを弾きたくなった…

小雨

ベットに脱ぎ捨てられた白いブラウス 天井まで積み重なる本 継ぎ接ぎで作られたカーテン そこから漏れる小さな光 あなたが一番大切なものだと言っても あなたじゃなくなった途端に必要とされない 変わるものは小さな波になり、凪いでいる 違う人の影とわたし…

茨木のり子

朝起きて 涙がでてきた 朝起きて 細々としたわたしは あなたの詩と出会う 私は私の感受性が嫌になっています 跳ね除けても、避けても、どこからでもやってくる水のようにしなやかに、鉛のように重いその感覚は、私にしか見えなくて、誰かに伝えようものなら…

年末

2023の年末は、京都だった。 なんの計画もなく、車を走らせ、車中泊して辿り着いた。ドタバタと家を出たので、忘れ物がなんなのかもわからない。 こんなもんでしょう、とわたしがわたしを納得させるときは必ず少し足りない。後少しなのだ。大丈夫でしょ、っ…

あったかいね。日差しと気温がちょうどよくて、とても気持ちが良い。良すぎている気もする。その反動なのか、たまに街でふきげんなひとを見て、なんかいいなと思ったり。ふきげんって平仮名だと少し柔らかく感じてこれもまたちょうどいいな。 ふきげんな春、…

はじめて

知らぬ間に沼のような終わりのない消費に踊らされて、気づけば虚であり、そしてそれをまた埋める為に音楽、本、映画に触れていると味がしなくなる。埋めることを目的にしているからいつまでも続くし終わらない。これに気がつくと靄のかかった負のループに入…

無謀のその先

「死にたいと言われたらなんて答えますか?」 とある会話の中で質問されて、心臓がグッと持ちあがり、喉の奥が詰まるような思いをした。死にたいか、死にたいんだな。じゃあ死んでしまえば?なんていう極論は、時としてうまく作用するけど、複雑な現実に立ち…

色色衣

今日はスピッツの色色衣のアルバムを聴きながら、ずっとずっと田んぼ道を車で走る。途中夕陽が沈む瞬間を横目に見ながら、まだ走る。稲穗、魚を繰り返す。田んぼ、夕焼け、稲穂、魚。こんな景色あるようでないなあ。どの街にもそれぞれの日常の景色があって…

選択への責任

今日、仕事の休憩中に電話がかかってきた。 一瞬、やめとこうかなとも思ったけど、強気な気持ちをしっかり握りしめて電話を出た。よしゃ、喧嘩だ喧嘩。負けてはならない!誰かにとか自分にとかじゃない、ただその空気に負けなければそれでいい。 相手も色々…

誤魔化したい

ほんとは色んなことを誤魔化したい。 気持ち、からだ、こころ、素直なもの全てを誤魔化したい。むきだしのまま、素直なままでいると大体がみっともないことになるし、そんなみっともない自分をみるのなんて...いやいや勘弁して。 だから、うまいこと誤魔化し…

社会

社会や世間って、みんなの中に一つの巨大なものとして存在していて、たまに押し潰されそうになったりするんだけど、その社会の正体が一体なんなのかなって、考えてみてもよくわからない。細解こうとしたって、実は人それぞれの概念で成り立っていて、正体は…

距離感

人との距離感を考えずにいると、いつの間にか人疲れが起こる。そして大体はそうなる前に、ああ、遠過ぎたな、近過ぎたな、とコントロールするようになる。そうやって自分と他人との境を大切にする。 でもたまに、コントロールできない時や、したくない日もあ…

何してる人?

短期バイトで長野を離れている今、バイト先の人に聞かれることがある。 君は大学生?何をしてる人?と耳にタコができるほど聞かれる。(バイト先は何百人もの人が働いていて、毎日知らない人と出くわすので)そして私はいつもう〜ん、なんだ?と返す言葉もなく…

年末

年末は特に理由はないけど東京にいることが多い。一昨年は、折坂悠太と青葉市子で、去年は工藤祐次郎、柳瀬 次郎、秋山璃月、中山うりのライブ。 にしてもやることがなさすぎる、この街は。 ライブ以外に用がない中心街をどう楽しむのかを試されていた。キラ…

居心地悪し

居心地が悪いなこの空間...と思う時はだいたい、その場の空気に飲まれてしまい、自分の発する言葉なんて二の次で全く自身のことなんぞ大事にしていないとき。どこにいてもそうだ。わたしは人とむきだしのまま、そのままでいたいことを、その方へ向かっていく…

カラックスの映画

1ヶ月前に観たカラックスの映画が未だに忘れられず、思い出してはああ...よかったよなあ、また観ようと思ってしまう。手元に欲しいdvd。言葉にできない美しさ、愛を映像で写し出して、超えてくる。細々しく生への明るさを感じられない主人公の濃く危ういエネ…

三日間の幸福

三秋縋さんの本がとても好き。特にこの三日間の幸福は長期で家を離れる時は必ず持ち運ぶ。 何がどういいのかはもう感覚でしかないから変に言葉になんてできないけど、その世界の中での醜いこと、哀しいこと、美しいことを表す言葉選びが私の心の近いところに…

生きていく柱のひとつ

納税する度に、年金を支払う度に、わたしは今期も今月も生きようとしているんだと認識する。わたしはわたしが思っているより堅実で、生きるのが面倒臭いくせに任意の生命保険とか入っている。この矛盾がたまに可笑しくて鼻で笑ってしまう。本当にいざとなっ…

22

22になった。ずっといろんな場所に日記を書き散らかして、また散らかす場所を増やした。 いま、長野の家の中もわたしの心の中も散らかって、散らかして、片付けて、また散らかす。 ずっと繰り返す。そして、いつかばらばらになる。